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経営者の高齢化に伴い、事業承継が日本の重要な課題となっています。事業承継について悩みを抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
事業承継に関する業務に特別な資格は必要ないので、独自で進めることも可能です。しかし専門的な知識が必要となる場面も多くあるため、本来の事業をしながら独自で進めることは困難といえるでしょう。そのため多くの経営者が専門家に依頼しています。
今回は事業承継の専門家である事業承継コンサルタントに依頼するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
選ぶポイントも紹介しているので、事業承継をスムーズに進めたいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
事業承継はしなければならないことがたくさんあり、期間も長ければ5年〜10年かかるといわれています。スムーズかつ成功させるためには、戦略的に進める必要があるでしょう。
しかし知識や経験がなければ、どう進めて良いかわからないと思います。そこで活躍するのが事業承継コンサルタント(以下、事業承継コンサル)です。
事業承継コンサルとは事業承継がスムーズに進むよう、アドバイスやサポートをする専門家です。主なサポート内容として、以下があります。
・企業の現状確認
・自社株式の評価
・企業価値の評価
・事業承継計画の作成
・補助金や優遇制度の手続き支援
・事業承継実行支援
これらを経営者一人がすべて担うのは、かなりの負担です。知識豊富な事業承継コンサルにサポートを依頼することで、負担を減らし適切な対策が取れるでしょう。
中小企業の事業承継は、今後増加することが予想されています。それに伴い事業承継コンサルの需要も増えていくでしょう。
税務や法務、会計に関する知識が必要のため、税理士や弁護士がコンサルを提供しているケースが多くあります。
しかし先ほども触れましたが、事業承継に関する業務をするにあたって特別な資格は必要ありません。国家資格を有していなくても、コンサルを提供している人もいます。
とはいえ依頼する側にとって、資格の有無はコンサル選びの大きな判断材料となるでしょう。そのため最近では「事業承継士」や「事業承継アドバイザー」などの民間資格を取得し、コンサルを提供する人も増えています。
しかし知識の有無だけではスムーズな事業承継はできません。事業承継コンサルには以下のスキルも求められます。
・企業の状況を適切に判断する「判断力」
・判断結果から適切な支援を提案する「提案力」
・相手方と対等な話し合いを進めるための「交渉力」
・より適切なコンサルを提供するために、多くの事業承継コンサルが知識やスキルを磨き続けています。
事業承継コンサルに依頼するメリットは、いろいろあります。ここでは主なメリットを次の4つにわけて解説します。
・専門的な知見を持つ担当者から支援を受けられる
・事業所系先の選定や交渉もサポートしてもらえる
・事業承継にかかる費用を抑えやすくなる
・後継者への支援も受けられる
事業承継を独自に進めると多大な労力と時間がかかります。しかし事業承継コンサルに任せることで、大きな負担軽減に繋がるでしょう。
事業承継コンサルは知識を豊富に有しています。経営者自身では解決できない課題も、事業承継コンサルに任せることでスムーズに解決できるでしょう。例えば自社株式を相続や贈与で引き継ぐ場合、評価額に応じた税金が発生します。
しっかりと対策していれば、負担は抑えられるでしょう。しかし何も対策していないと、予想以上の高額な税金が課せられることがあります。このようなケースは、知識がないと適切な対策ができません。
豊富な知識を持っている事業承継コンサルであれば、自社に合った適切な対策を提案してくれます。
事業承継する方法は主に3つあります。1つ目は子供や親族に承継する親族内承継。2つ目は
自社の従業員や役員に承継する従業員承継。そして3つ目はそれ以外の個人や企業など第三者への承継です。M&Aとも呼ばれます。用語を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
親族や従業員を後継者として選定できるのであれば、すでに知っている人物なので比較的スムーズに進めやすいでしょう。
しかし第三者へ承継するとなると、相手を探さなければなりません。また相応しいかどうかの入念な調査も必要となります。独自に適切な相手を選ぶのは簡単なことではありません。
しかし事業承継コンサルに依頼することで、適切な企業選定もサポートしてくれます。企業調査もしてくれるので、スムーズに相手選びができるでしょう。
独自のネットワークを持っているケースも多いため、自社だけでは難しい企業と交渉できる可能性もあります。
また自社に不利な条件とならないよう、交渉や契約書の作成サポートもコンサルの仕事です。より有利な条件で契約できるよう動いてくれるので、第三者への承継も安心して進められます。
事業承継に関して、多くの経営者の頭を悩ませるのが税金の問題です。相続や贈与の額が少額であれば問題ありません。しかし自社株式の評価が高くなった場合、相続税や贈与税も高額になります。
事業承継コンサルは税の負担を抑えられるように、自社株式の評価を下げる対策や、制度を活用したサポートをしてくれます。
コンサルを依頼する費用はかかりますが、それ以上の節税効果を思えば、大きなメリットといえるでしょう。事業承継コンサルにかかる費用相場は後述します。
事業承継をスムーズに進めるためには、現経営者と後継者の意見をマッチさせることが大切です。事業経営コンサルは一方の意見に偏ることがないよう、中立的な立場に立って両者をサポートします。
また事業承継が完了したらそれで終わりではありません。後継者にとっては、そこからが本当のスタートです。承継したばかりで、今後の税金面などに不安を持つ方もいるでしょう。
そのような不安解決のために、継続して後継者のサポートをしている事業承継コンサルもいます。事業承継後もサポートがあれば、安心して経営に専念できるでしょう。
事業承継コンサルへの依頼は多くのメリットがありますが、一方でいくつかデメリットもあります。
・依頼先によっては費用負担が大きくなる
・コンサルティング企業によって対応できるサービスが違う
・担当者の能力によって事業承継の成否が変わる
「思っていた内容と違っていた」「依頼して損した」とならないよう、しっかりとデメリットも理解しておきましょう。
費用相場は次章で詳しく解説しますが、依頼先によっては費用負担が大きくなる可能性もあります。料金体系は毎月一定の料金がかかる月額型(リテーナーフィー)や、成功して初めて料金がかかる成功報酬型などさまざまです。
着手金や中間報酬を求められる場合もあります。しかし最近では競合が増えているため、それらの費用を無料とするコンサルティング企業も増えているようです。
「無料だと思ったら着手金を請求された」とならないよう、事前に料金体系をしっかりと確認しましょう。料金設定が明確なコンサルティング企業を選ぶことで、無駄な費用を抑えられます。
コンサルティング企業やM&A仲介企業のホームページを見ると、同じような文言の業務内容が記載されているのがわかります。しかし同じ業務名だとしても、そのサポート範囲は異なる場合があるので注意が必要です。
例えば「相手企業の選定」と記載されていても、幅広い範囲から相手を探してくれる場合と、取引先に限定している場合があります。
いろいろなサイトを見比べてみて、疑問があれば問い合わせて確認しておくとよいでしょう。「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐことができます。
同じコンサルティング企業でも、担当コンサルタントによってサービスの質が異なる場合があります。相性が合わないと感じることもあるでしょう。相性が事業承継の成否に影響する可能性もあるので、合わないまま進めるのはおすすめしません。
事業承継に失敗すると、その後の経営にリスクを伴うこともあります。合わないと感じたら遠慮せず担当者の交代、またはコンサルティング企業の変更も視野に入れておくべきでしょう。
事業承継コンサルの費用は、提供している企業によって幅があります。そのため一概には言えませんが、一般的な相場は以下の通りです。検討する際の参考にして下さい。
項目 | 費用 |
自社株評価 | 10万~30万円 |
相続税シミュレーション | 10万~30万円 |
経営計画の策定 | 30万~ |
組織再編の計画 | 30万~200万円 |
納税猶予の贈与税申告書の作成・提出 | 10万~30万円 |
特例承継計画の策定・認定申請 | 30万~70万円 |
ちなみにM&Aの場合は、成功報酬型の「レーマン方式」が一般的です。取引金額に応じた料率で算出されます。
【報酬例】
取引金額 | 料率 |
5億円以下 | 5% |
5億円~10億円 | 4% |
10億円~50億円 | 3% |
50億円~100億円 | 2% |
100億円 | 1% |
どのくらいの費用で、どこまでサポートしてくれるのかはコンサルティング企業により異なります。高ければ成功率が高くなるというわけではなく、安ければお得ということでもありません。費用面だけではなく、サービス内容もしっかり確認しましょう。
事業承継コンサルは何を基準にして判断するべきか、悩む方も多いと思います。ここでは適切な選び方のポイントを以下の3つにまとめました。
・過去の実績を確認する
・信頼できる担当者かどうか判断する
・無料で試せる事業コンサルに依頼する
・具体的に解説します。事業承継コンサルを選ぶときの参考にしてください。
事業承継コンサルといっても、それぞれ得意な分野はさまざまです。事業承継を成功させるためには、自社に近い規模や業界に強いコンサルを選ぶとよいでしょう。
自社が中小規模にもかかわらず、大企業を得意とするコンサルに頼んでも、ニーズがマッチせず満足できない可能性があります。中小企業を多く担当したコンサルであれば、安心して任せられるでしょう。
ホームページで実績確認をする他、コンサルティング企業にどのような担当者が良いか、希望を伝えるのがおすすめです。よりマッチした担当者を見つけやすくなります。
担当者選びにおいて知識が豊富なことも大切ですが、信頼できるかどうかも重要な判断ポイントです。コンサルを依頼するにあたって、社外秘の情報を共有する可能性もあります。そのため、ペラペラと外部に話してしまうような口の軽い担当者は避けたいところです。
例えば相談の際に、企業名が特定できるような事例の話し方をする担当者はおすすめしません。同じように他の企業に自社の内容を話してしまうリスクがあります。
他にも「しっかりとヒアリングしてくれるか」「適切なアドバイスをしてくれるか」などから信頼度が判断できます。さまざまな視点から信頼できるかどうかをしっかり見極めましょう。
無料相談を実施しているコンサル企業も多くあるので、悩んだらまずは相談してみましょう。また、どの事業承継コンサルに依頼するか判断に迷ったときは、お試し期間を提案するのも一つの方法です。無料または有料で複数回のコンサルを提案してみてください。
実際にコンサルを受ければ担当者との相性も見えてきますし、適切な提案をしてくれるかどうかも判断しやすくなります。
お試し期間とはいえ、依頼する際は契約書を交わすことが大切です。期間中のサポート内容、不要だった場合の契約解除についても記載しておくことでトラブルを防ぐことができます。
事業承継コンサルに依頼するメリットとデメリット、選び方のポイントを解説しました。事業承継は独自で進めることは困難なため、多くの経営者が専門家に依頼しています。
事業承継コンサルに依頼することで負担を抑え、スムーズに進められるでしょう。
しかし事業承継コンサルと一言でいっても、費用やサービス内容、得意分野が異なります。事業承継を成功させるためにも、自社に適した実績や相性を持つコンサル選びが大切です。複数のコンサルを比較して、自社に合うコンサルを見つけましょう。
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