マーケット拡大の可能性を探るために在宅ワーカーを活用

山口製麺有限会社は、1948年3月に三重県伊勢市にて創業した。三代目となる山口博司氏は、祖父にあたる初代がつくった伝統の伊勢うどんの味を変えることなく守り続けたいという強い想いを持って事業を継続している。パートタイマーを含めて従業員数は18人、在宅ワーカーは延べ3人と契約した。今回は代表取締役の山口博司氏に、在宅ワーカー導入のきっかけや成果について話を聞いた。

伝統の味を守りながら新たなマーケット拡大に取り組む

まずは、山口氏から山口製麺有限会社の事業内容を教えてもらう。

「創業以来、常温・冷凍うどんの製造をしており、小売店への販売に加え、全国への通信販売も行っています。通信販売を始めたのはインターネットが普及し始めたころ、お店に来られた方から送ってくれないかと問い合わせをいただいたのがきっかけです。

祖父がつくった伊勢うどんの味は、3種の小麦をブレンドしていますが、小麦は時代と共に品種改良されたり、気候の影響があったりと、品質が変わってしまうことがあります。それでも味が変わらないように、ブレンドを調整しながら伝統の味を守り続けていることが私のこだわりです。伊勢で育った方々がいつ食べても変わらず懐かしい、美味しいと思っていただけるように、この味を大事にしていかないといけないと思っています」（山口氏）

在宅ワーカーの導入に至ったきっかけは何だったのだろうか。

「以前、アイドマさんに営業支援を頼んだことがありまして、新たにお願いしたい業務がでてきたので、2023年に入ってママワークスさんにお願いしました」（山口氏）

在宅ワーカーの募集から導入にあたっては、どのように対応したのだろうか。

「ママワークスの支援スタッフと二人三脚で、書類選考などを進めました。面接もリードしてもらいながら、私から聞きたいことは質問をしました。丁寧にサポートしてもらってありがたかったです。面接ではリモートとはいえ、話をしているときの雰囲気や業務に対する姿勢などを重視して選考しました」（山口氏）

在宅ワーカーにも商品に愛情を持って取り組んでもらいたい

同社ではこれまで3人の在宅ワーカーに、電話での営業を依頼したという。

「伊勢うどんは柔らかいことが特徴で、離乳食から介護食まで利用でき、幅広い年代の方に食べていただけます。そこで、介護食のマーケットを広げていこうと、特定養護老人ホームなどに電話営業をかけてもらいました。その際には、在宅ワーカーの皆さんにも弊社の商品を知って欲しかったので、うどんを送って食べてもらいました」（山口氏）

在宅ワーカーとはどのような体制でやり取りをしているのだろうか。

「基本的には私がチャットでやり取りをしていました。1日に100～200件ほど、広く全国エリア電話をかけてもらいました」（山口氏）

困ったことや大変だったことについて聞くと、新規開拓営業の難しさを挙げる。

「これまでも既存の取引先へ介護食として提供していたのですが、全国エリアに広げて営業をかけてみたところ、なかなか難しいことがわかりました。施設によって仕組みが違ったり、地域によっては行政との絡みがあり仕入れ先が特定されていたり、入札で決めているところもあったり……。

半年ほど続けてみましたが、期待していたような営業成果は得られませんでした。そこで、電話営業は一旦ストップして様子を見ることにしました」（山口氏）

すぐには成果につながらなくても、次に活かせる情報がある

ママワークスサイトの導入効果や良かったことについても聞いた。

「営業成果が得られなかったのは在宅ワーカーの皆さんのせいではなく、どの方も非常に丁寧に営業電話をしてくれていました。介護食のマーケット拡大が難しいという事実がわかったことは意味がありましたし、各施設、地域の詳しい事情を聞けて、今後の事業展開の参考になったので、やって良かったと思っています」（山口氏）

最後に山口氏から、在宅ワーカーの導入を検討している企業へのメッセージをもらった。

「電話営業は、急に電話を切られたり、厳しいお言葉をいただく事もありますので、在宅ワーカーに依頼する場合は、依頼する側との信頼関係を十分に構築して、メンタル面でのケアにも気にかける必要があると、実際やってみて感じました。商品に対して愛情を持って取り組んでくれる方なら、電話営業は必ず何らかの成果につながると思っています」（山口氏）