インサイドセールスに強い人材を育成しよう
「インサイドセールス」という言葉を聞いて、どういう仕事でどういう役割を果たしているものなのかを、すぐに思い浮かべることができますか?
アメリカで誕生した営業手法の「インサイドセールス」は、まだ日本では充分に浸透できているとは言えません。必然的に経験者は少ないものであり、ノウハウも収集できていないため、これからインサイドセールスを始めようと考えている企業にとってはハードルが高いものとなっています。
では、中途採用の経験者だけに頼らず、自社で人材を育てる場合、どのように初めていけば良いのでしょうか。具体的な人材育成のポイントや、「コールセンターシステム」を導入するときの注意点などをご紹介します。
近年、視線が注がれているインサイドセールス
足を運ぶのが当たり前だった日本の営業スタイルですが、近年急激にその手法が変わりつつあります。「リモート」という働き方が浸透するに従い、営業も「リモート営業」というスタイルが浸透しつつあります。
Web会議ツールなどを利用したリモート営業を導入すれば、これまで営業に必要だった「交通費」「出張費」「宿泊費」などを削減することができるのです。さらに顧客の元へ行く移動時間も必要なくなるため、益々「インサイドセールス」への需要は高まるでしょう。
日本におけるインサイドセールスの現状
インサイドセールスという手法はアメリカで誕生したものです。ワークスタイルのトレンドがやや遅れてやってくると言われている日本の企業では、まだまだ浸透しているとは言い難い状況です。フィールドセールスが主流であることに変わりはありませんから、インサイドセールスの経験者が不足しているという状況にもあります。
この職種のなり手が少ないという実情に、日本企業での実績数が少ないということも相まって「人材育成のノウハウ」が確立しづらいのが現状です。
インサイドセールスに強い人材育成 7つのポイント
インサイドセールスの人材を育成するにあたってのポイントは7つあります。その詳細をご紹介します。
1 インサイドセールスに対する解釈とその役割を明確にする
インサイドセールスとはどのような役割なのかを全員が明確に理解することが大切です。フィールドセールスとの線引きを作ることなどで、自分自身がやるべきことが分かりやすくなってきます。
2 目標達成までの度合いを定義し進捗を共有
インサイドセールスはアポイントメントを取るのが重要な役割です。つい、アポイントメントの数だけに注視してしまいがちですが、電話の数や会話の内容、また契約が確定した数まで評価基準を設定しましょう。
チーム内でKPIの進捗状況を共有することが大切です。
3 担当者間で情報共有できる環境を整備
インサイドセールスには、一人でリードからクロージングまで行う方法と、それらを分業する方法があります。
細かく部門が分かれている場合は、お互いがスムーズに業務を行えるように、進め方などの相互確認についてルールを徹底しましょう。担当業務以外のことを深く理解することもできますので、次にバトンタッチする際によりスムーズな連携が取れるようになります。
4 役割を細分化させ管理体制を整える
インサイドセールスは、その中の役割を細分化することができます。最初に相手とコンタクトを取るリードや、内容をより深く説明しアポを取るクロージング、さらには商材について専門的な説明ができる部門などが代表的なものです。
チームを細分化することで、それぞれの役割に専念することができ、早い成長が期待できます。
5 対面ではないデメリットをカバーする意識を持たせる
インサイドセールスの特徴である非対面での営業活動は、対面と異なり相手の表情や反応が把握しにくいため、できる限り「相手側の話」を聞くということを心がけることが大切です。しっかり聞くことで相手のニーズが見えてくるので、適切な対応をすることができます。
インサイドセールスに特化した対応ができる人材育成には必須のスキルとなります。
6 「デキる」担当者のノウハウを共有する
インサイドセールスは普段の業務の中で、他メンバーの実際のやり取りを見聞きする機会はあまりありません。技術向上のために、「デキる」担当者のノウハウを社内やチーム内で共有できるシステムを作りましょう。
相手とのやり取りは個人作業になる業務なので、定期的に共有できるようにすればメンバー全体を平均的にスキルアップさせる事ができます。
7 通話の録音・録画システムを活用したフィードバックを行う
インサイドセールスで使用する電話システムは「通話の録音・録画」ができるシステムを選びましょう。前述した「デキる」担当者のノウハウの共有も容易になりますし、対して自分の応対がどうなのかの確認も同時にできるため応対スキルの向上につながります。
また第三者の意見を取り入れながら技術を改善する事はスキルアップへの近道となります。
インサイドセールス担当者育成とコールセンター機能の構築についての3つのポイント
本格的なインサイドセールスの導入を考えているのであれば、電話とコンピュータが統合された「コールセンターシステム」を取り入れることが最善でしょう。商談内容のチェックやフィードバックに使える「録音機能」や、リアルタイムで確認できる「モニタリング機能」など、人材育成にも大変有効な機能が搭載されているものもあります。
コールセンターシステムを選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
1 CRMやSFAとの相性を考慮する
営業の中で大切になることのひとつとして「インサイドセールスとフィールドセールスの連携」があります。双方は専門性の異なる営業ですが、情報を共有し連携させることが重要となります。
コールセンター機能の中には「CRM」と呼ばれる顧客管理に特化したシステムと、「SFA」と呼ばれる営業活動の効率化などに特化したシステムがあります。導入時には、これらの相性の良さを確認する必要があります。
これらの機能は全体の動きを可視化することもできるので、スムーズな情報共有と人材育成が可能となります。
2 会話のじゃまにならない使いやすいシステムかどうか
多くの機能を搭載しているシステムは便利なものです。しかし、それらを操作するのに専門的な知識が必要となるものならば、使いやすいシステムとは言えません。インサイドセールスは、相手と会話をしながら操作をしなければならないので、会話に集中できる環境作りが必須なのです。
操作が難しいシステムを使おうとした場合、これらを操作しながら会話ができるようになるまで、相当な育成期間を要することとなります。
3 初期費用を抑えられるシステムもある
電話のシステムを入れ替えるとなると大きな費用がかかりそうなイメージがありますが、これらのコールセンターシステムには「クラウド型」のものがあります。PCと整ったインターネット環境さえあれば始められるので、小さな規模から始めてみたいという場合にも、導入しやすくなっています。
現在使用している電話番号もそのままで使うことができるので初期導入のハードルも低くなっています。
まとめ
現時点の日本のビジネスでは、まだまだ認知度が低い「インサイドセールス」ですが、発祥の地アメリカでは、契約締結の約50%にインサイドセールスが貢献されていると言われています。
まだ大きく活躍を取り上げられていない日本でも、インサイドセールスとフィールドセールスが営業の役割分担を行い、情報を共有し合うスタイルで行っている企業はすでに大きな結果を残し始めています。
ワークスタイルが通勤から在宅へと大きく変化し始めた近年の日本。インサイドセールスが営業の当たり前になる時代は、もう目の前までやってきています。