メモ作成ツール「エバーノート」の使い方やメリットについて
営業活動中の雑談や打合せの本筋ではない話のなかで、アイデアがふくらんだ経験は誰にでもあるでしょう。移動中などのちょっとした空き時間に、懸案だったプロジェクトの解決の糸口が閃くこともあります。
そんなときには、資料の裏面に走り書きをしたり、自分の手帳とペンを出して、アイデアが消えないうちにと慌てて書き留めたりしているのではないでしょうか。
手書きのメモは、アイデアを素早く書き留める最善の方法のように思われますが、ここにITツールの力を利用すれば、単なるメモがプロジェクトの種へと成長しやすくなります。
手帳のように使えて、手帳以上に便利なメモ作成ツール「エバーノート」の使い方について、詳しくご紹介します。
エバーノートとは?
エバーノートとは、ひとことでいうとデータをクラウド上に保管してくれるサービスです。サービス開始以来、現在までに200カ国以上で利用されており、90億を超える「ノート」がクラウド上に保管され、それぞれのユーザーに活用されています。
エバーノートはどんなサービス?
エバーノートは、アイデアや思いつきをメモしたいときに、テキストでも手書き文字でも、データ化して保存してくれます。文字情報のほか、写真・動画・音声データ、スマートフォンで撮影した書類や名刺、PDFやワード・エクセルなどのファイルも「ノート」という単位で保存できます。
エバーノートの提供会社
エバーノートはアメリカのカリフォルニア州に本社があるEvernote Corporationによって提供・運営されています。創業は2007年で、日本語版が公式リリースされた3カ月後の2010年6月には、初の海外拠点として東京に日本支社を設立しました。
エバーノートの利用料金
エバーノートには無料で利用できる「ベーシックプラン」と月額600円の「プレミアムプラン」、月額1,100円の「エバーノートビジネス」があります。
エバーノートの使い方
エバーノートはさまざまな情報を記録でき、振り返りたいときにも検索機能ですぐにデータを呼び出すことのできるメモツールです。仕事や自己啓発などのカテゴリーで自由に使いこなすことができれば、「記憶のバックアップ」として役立つでしょう。詳しい使い方をみていきます。
エバーノートの導入方法
エバーノートはアプリケーション型のサービスです。まずは公式ホームページなどでアカウント登録をし、使いたいデバイスにアプリケーションをダウンロードします。パソコン、スマートフォン、タブレットに導入できますが、無料版では同期できるデバイスは2つまでなので注意してください。
ブラウザを機能拡張しておくと、Webページなどを「ブックマーク=お気に入り」として登録するようにエバーノートへ簡単に記録できるようになります。
Androidのスマートフォンなら、Evernote ウィジェットもダウンロードしておくと、カメラ機能などを便利に使うことができます。
エバーノートの基本的な使い方
・パソコンでエバーノートを使う場合は、文書や画像、ファイルなどをエバーノートのアイコンへドラッグアンドドロップすれば、新しいノートとして保存されます。既存のノートを選択して追加することもできます。
・ネットサーフィンで気になる情報をみつけたら、エバーノートに記録しましょう。従来のブックマークでは、ページの内容が更新されると以前の情報が失われてしまいますが、エバーノートならスクラップブックを作るように大切な情報を保存できます。
・決まった項目を設定しておきたいのなら、ノートにテンプレートを作成しておきましょう。このノートをコピーすれば、何度でも同じ書式のノートを増やすことができます。
・エバーノートのカメラ機能は、OCR(文字認識機能)として利用できます。画像内のテキストを検索条件に指定できるので、イベントのポスターから名刺まで、画像のままでもデータの呼び出しが簡単です。
・エバーノートには音声も録音できます。音声ファイルだけだと、何の会話か聞いて確認する必要がありますが、概要もテキストでノートへ記録しておけば、確認の手間が省けるようになるでしょう。
・エバーノートの有料プランでアカウント登録をすると、自分用のメールアドレスが割り当てられます。このアドレス宛にメールを送信すると、メールの内容が新規ノートとして記録されます。長文を打ち込みたいときなどは、パソコンからメールを送信すると負担が少ないでしょう。
エバーノートを利用するメリット
エバーノートはさまざまなメモツールのなかでも突出した存在です。エバーノートが世界中で受け入れられたのは、「無料」「共有」「連携」という3つのキーワードによるメリットが大きかったためと考えられます。それぞれについて解説します。
無料でも利用できる
エバーノートの無料プランは、2つのデバイスまでの利用で、月間アップロード容量は60MBまでという制限がありますが、テキストとWebクリップ主体で利用するならほとんどストレスは感じないでしょう。
メンバー間でデータを共有できる
エバーノートで作成した「ノート」一つひとつにメンバーを招待するかたちで共有することができます。同じノートを見ながらチャットで会話をしたり、権限があればノートを編集したりできるので、メンバー同士でディスカッションしやすくなります。
同期や連携で利便性アップ
エバーノートはGoogle ドライブ、Outlook、Salesforce、Slack、Microsoft Teamsと連携できます。連携すると、それぞれのツールに加えた変更がエバーノートに同期されたり、エバーノートからツールへ直接アクセスしたりできるので、情報の一元管理がしやすくなります。
エバーノートを利用する際の注意点
無料で始められて大変便利なエバーノートですが、利用するときに注意しなければいけない点がいくつかあります。実際に利用している人から指摘されている使用感など、3つのポイントについて解説します。
無料プランは法人向けではない
無料プランでも基本のメモ機能は十分に便利なエバーノートですが、法人としてチームの情報共有などに利用したいのなら、エバーノートプレミアムまたはエバーノートビジネスの利用を検討しましょう。
名刺のスキャンやPDF・Office文書内のテキスト検索、PDFに注釈を書き入れられるのは有料プランからとなります。さらにエバーノートビジネスなら、共同作業をスムーズに進められる「スペース」機能が利用できるので、知識やアイデアをチームメンバー全員でリアルタイムに共有できます。
使いやすさに気になるところがある
エバーノートはユーザビリティの向上のため、頻繁にアップデートをしているのですが、使い慣れた人からは「かえって使いにくくなった」という声が寄せられています。また、スマートフォンの無料版ではアップグレードのお知らせが作業の邪魔だと感じる人もいます。
アップデート直後はバグに注意
アップデート後はバグが発生することがあり、フリーズしやすくなったり、保存したノートが開けなったりするなどのトラブルが報告されています。多機能化が進んだ弊害なのか、動作が重いと感じる人も多くいます。
エバーノートと連携すると便利なツール
エバーノートと連携すると便利なツールを3つご紹介します。すでにツールを使用している人は、情報収集にかける時間の短縮となり、作業の効率化が図れるようになることでしょう。
Gメール
ビジネスメールとしてもすっかり普及したGメールですが、フォルダ分け機能がないので大切なメールを探すのにひと手間掛かってしまうのがネックでした。
Gメール用のアドオンを入手すれば、Gメールを「ノート」として他の情報とも同じ場所に保管できるようになります。関連情報をタグ付けして保存すれば情報を集約できるので、作業が効率的になるでしょう。
セールスフォース
セールスフォースと連携させると、顧客管理にもエバーノートを役立てることができます。エバーノートビジネスなら、名刺を撮影するだけでテキストに変換してセールスフォース上の連絡先に自動登録してくれます。
エバーノートからセールスフォースを編集することや、セールスフォースからエバーノート内を検索することもできるので、複数のツールを使うことによるストレスはほとんど感じないでしょう。
スラック
ビジネスチャットツールのスラックと連携させれば、チャット内容をそのままノートとして保存できるので、重要な要件がチャットに埋もれていってしまうことを防げます。
また、スラックで会話を続けながら、エバーノート内を検索・閲覧したり、自分用のタスクを新規に作ったりという作業も可能です。「チャットを終えてから」「書類を作成して」「稟議に回す」というタイムラグをなくし、プロジェクトをスピーティーに動かすことができるでしょう。
まとめ
「エバーノート」を利用すれば、大切なメモが資料に紛れてしまったり、「どの辺に書いたかな……」と手帳を読み返したりする手間なく、目当てのアイデアを探し出すことができるようになります。自分のノートをチームメンバーと共有することもできるので、個人の発想をチームみんなでブラッシュアップしていくツールとしても便利です。
他のITツールと連携させることで、ビジネスへも展開しやすくなり、作業の効率化はさらに向上することでしょう。
まずは、個人利用でエバーノートに触れてみて、いろいろな使い方を探求してみてはいかがでしょうか。