【イベントレポート】算数の教科書著者、たけちゃん先生による「がくしゅう・子育てお悩み相談室」
在宅ワーク特化型求人サイト『ママワークス®』が会員向けコンテンツとして開講している『オンライン de キッズスクール』では、子ども向けオンライン授業や保護者向けオンラインイベントを随時開催しています。
2021年2月、啓林館の教科書の著者であり、教員の養成も長年経験されている竹内英人先生(通称たけちゃん先生)をお招きし、前半は主に低学年のお子様を対象として「たけちゃん先生 算数出前授業」を、後半は保護者を対象として「たけちゃん先生 がくしゅう・子育てお悩み相談室」を開催しました。
前半45分間の授業では、低学年の子ども達が集中して授業を聞く姿や積極的に手を挙げて回答する場面が見られました。合間には、たけちゃん先生による子どもたちへのタイミングの良い声がけがあり、そこには子育ての悩みを解決するヒントが転がっていました。
なぜ学ぶことが嫌いになってしまうのか
「算数好きな人、手あげて!」
たけちゃん先生による出前授業は、そんな声がけから始まりました。参加してくれた子には算数が好きな子も嫌いな子もいましたが、たけちゃん先生によれば「子どもは本来学ぶことが大好きである」のだそうです。
たけちゃん先生は他に、子どもは「知らないこと、未知なものに対しては最大限の興味を示す」ともお話されていました。実際、たけちゃん先生の授業を聞く子ども達は、目を輝かせて先生の話を聞き、問題にも積極的に参加をしている様子が見られました。
では、子ども達は一体なぜ学ぶことが嫌いになってしまうのでしょうか?
後半のお悩み相談室のなかで、たけちゃん先生は子どもが勉強を嫌いになる理由を3点あげていました。
- ● 結果(正解か不正解)しか求めないから
- ● 急ぎすぎるから(結果が出るのを急ぎすぎるから)
- ● 他人と比べるから
いずれも、周りの大人による影響です。
今回のたけちゃん先生の出前授業では、開始時に「自分の頭で考える」ことを子ども達にお約束として提示していました。
「分からなかったり、間違ったりしても大丈夫。周りの大人に聞かないで、自分でまずは一生懸命考えましょう!」
たけちゃん先生の授業では、正解・不正解ではなく、また、すぐに答えを出すことを求めず、それぞれの子に自分で考えることを促す姿勢を随所に感じることができました。
子どものやる気を失わせるNGワード
お悩み相談室では、たけちゃん先生から「こんな声かけしていませんか?」と保護者の皆さんに注意喚起がありました。
以下4つ以上あてはまる場合はイエローカード、6つ以上でレッドカード!とのことですが、皆さんはいかがですか?
- ● もう宿題やったの?
- ● 今しっかりやっておかないと後で困るよ(ここでつまずくと後が大変だよ)
- ● もっと早くできないの?
- ● そそっかしいミスさえなくなれば、もっと良い点数を取れるよ
- ● 中学受験でも算数は大事だよ
- ● お姉ちゃんはできたのに・・・
- ● ○○くん(ちゃん)はどうだった?
- ● クラスで100点は何人いた?平均点は何点だったの?
せかしたり、嫌味っぽいことを言ったり、他人と比べたり・・・なかには、親が良かれと思って言ってしまうこともあるかもしれませんが、何気無い親の一言で子どものやる気はだんだんと失われていくのだそうです。
「本来学ぶことが大好きである」はずの子どものやる気を親がそいでしまうのは非常にもったいないこと。これらのNGワードに気をつけないといけませんね。
親の究極の役割とは?
たけちゃん先生はズバリ、親の究極の役割とは「自分(親)が死んだとき、子どもが一人でどんな困難にも負けずに前向きに楽しく生きていけるような土台を作ってあげること」と主張します。
さらに「いい学校に行くことで幸せな人生を歩めるという時代は終わりました。」そう言い切ります。自分の力で学び続けられる子どもに育てること、そしてそのためには幼児・児童教育がとても重要であることを強調されていました。
では、親として子どもに何をしてあげれば良いのだろう?という保護者に対して、たけちゃん先生は以下5項目を挙げてくださいました。
- ● 子どもにいろんな学びのチャンスを提供する(何に興味があるか分からない)
- ● 親自身が学び続ける姿を見せる(継続する姿を見せる)
- ● 最後まで子供の「応援団」でいる
- ● 「ティーチング(指導、教える)」ではなく、「コーチング(支援、導く)」
- ● 子どもの話を聞く
良いのは分かっていることでも、なかなか子どもにしてあげていないこともあるのではないでしょうか?上記5項目と普段の親子関係を照らし合わせて洗い出しをして、どうやって親として子どもにそれらを提供していくのかを考えると、きっと課題が見つかりますね。
重ねて「何事もまずは3ヶ月の継続!」と強調されていました。すなわち、親が学ぶ姿勢を見せるにも、最低3ヶ月要さないとならないということです。また、子どもが自分で勉強の計画が立てられないときも、3ヶ月はサポートする、など3ヶ月を一つの目安にすると良いそうです。
子どもが伸びる環境とは?
たけちゃん先生は子どもが伸びる環境として5つの項目を挙げてくださっています。
- ● 安心して学べる環境(何があっても自分を認めてくれる親の存在)
- ● 良い声かけ
- ● 良質なコンテンツ(教材)
- ● 良い先生(子供に合った先生)
- ● 良い仲間
前半の出前授業でも、たけちゃん先生は絶妙なタイミングで声がけをされていました。「否定をしない」という点も大切にされていると言います。
実際、授業を受けさせていた保護者の方からは「(子どもの回答が)合っていても間違っていてもトーンが変わらない声かけや、最後に答えを解説せず自分で考えてみてね、と締めくくる声かけなど、なるほどと思いました。」という感想も届いていました。
大げさに何もかも褒めるのではなく、ここぞという時に声がけをしていくには、技術も必要です。どのタイミングでどう声がけをしていけば効果的か、親は子どもの様子をよく見ておく必要がありますね。
たけちゃん先生の授業およびお悩み相談室は、合わせて1時間半を超えるほどの長さでしたが、そこには子育てのヒントが満載でした。
前半の授業に参加した子どもの保護者からは以下のような感想をいただきました。
「ゲーム感覚での授業、新鮮でした。」
「みんな全く集中力切れていないように思えました。テクニックがすごいです。」
「何を答えても、自然体で本当に否定しないでいて、学校の先生がこんな先生ならいいなあと思いました。」
「子どもが楽しそうで声かけが参考になりました。」
まさに子どもが画面に食いつくほどの授業展開でした。
さらに、後半のお悩み相談室に対しては次のような感想をいただいています。
「耳が痛いことばかりでした。1つでも親として子どもの邪魔をしないよう頑張ります。」
「同じような悩みがある方がたくさんいて、うちだけじゃないのに少し安心しました。親が死んでも、子どもが楽しく生き抜く力をつける、そのための勉強の仕方を考える、という視点を見失わずに子供と関わっていきたいと思います。」
子育てをしているとうまくいかないことや、良かれと思ってやっていたことが裏目に出てしまうこともありますよね。当日も、たけちゃん先生のお話しされた内容に耳が痛いと思って聞いていた方も多いと思いますが、これを機会に少しでも子どもとの触れ合い方を見直しすることができたら良いのではないでしょうか。
◇登壇者プロフィール◇
竹内 英人(たけうち ひでと)
名城大学 教職センター教授(数学)
大学では中高の数学教員養成、全国の教員研修を行っている教師育成のプロフェッショナル。啓林館の教科書執筆をはじめ著書多数。小・中・高校生への出前出張授業も大人気。
『オンライン de キッズスクール』では、今後の講座のスケジュール、および各講座へのお申し込みを以下のページから受け付けています。一人でも多くのお子さまがこの講座で楽しく学んで、働くママの負担が軽減されますように!
https://mamaworks.jp/kidscourse/
※取材日時点での情報です