事業承継セミナーとは?受講のメリットやセミナーの選び方

事業承継についてのセミナー会場

事業承継をうまく行うには知識が必要

事業承継とは「事業を後継者に引き継ぐこと」です。20年以上前は子供や親族に引き継ぐことが一般的でした。しかし現代では引き継ぐ人が親族におらず、深刻な後継者問題に悩む経営者の方も増えています。

また引継ぎといっても従業員同士の引継ぎとは違い、手順や承継内容も複雑です。長いと数年かかるケースもあります。安易に進めようとすると失敗する可能性もあるので、慎重に進めなければなりません。しかし具体的にどのように進めていけばよいか疑問に思う方もいると思います。

そこで事業承継に悩む経営者向けに開催されているのが、事業承継セミナーです。今回は事業承継セミナーの種類や、参加メリットを解説します。セミナーの選び方についても紹介するので、事業承継セミナーを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも事業承継セミナーとは

事業承継セミナーとは、文字通り事業承継をスムーズに進めるためのノウハウや情報を提供している講習会です。事業承継を検討している経営者の方向けに、全国各地で開催されています。

冒頭でも触れましたが、事業承継は決して簡単なものではありません。多くの手続きや後継者の育成、株式の譲渡などやるべきことはたくさんあります。そのため従業員同士の引継ぎのように1か月程度で終わるようなことはありません。5年から10年かかる場合もあります。そのため承継のタイミングは企業にもよりますが、一般的には後継者が40代のときに行なうのが良いといわれています。

現経営者が元気なうちは、つい後回しになってしまうかもしれません。しかし事業承継は、今後の経営を左右する大事なことです。気づいたときには満足な引継ぎができる猶予がなくなり、慌てることにもなりかねません。

事業承継を成功させるには、現経営者が元気なうちに余裕をもって進めることが大切です。スムーズに進めるためにも、事業承継セミナーで早い段階から知識をつけるとよいでしょう。

事業承継セミナーの種類と特長

事業承継セミナーは、全国各地でさまざまな団体が開催しています。内容はセミナーにより異なりますが、主催団体は大きく2種類にわけられます、一つは公的機関、もう一つは民間企業です。ここでは主催団体ごとの特徴を解説します。

公的機関が開催する事業承継セミナー

1つ目は、日本政策金融公庫や中小機構、商工会議所などの公的機関が開催するセミナーです。参加費が無料、もしくは低い値段で設定されていることが多く、費用をかけたくない経営者にとっては参加しやすいでしょう。

後継者不足が深刻になっていることから、事業承継に関して中小企業庁も積極的に支援策を打ち出しています。最新の政策についても詳しく知れるでしょう。ただし開催頻度はあまり多くないかもしれません。

無料セミナーなどはすぐに募集締め切りになる可能性もあるので、定期的にホームページでチェックしておくとよいでしょう。

民間企業が開催する事業承継セミナー

2つめは、民間企業が開催するセミナーです。セミナーを専門としている企業もあり、公的機関に比べて開催頻度が多いのが特長です。もし開催場所が近くになくても、依頼すれば出張してくれる場合もあります。

最近ではオンラインセミナーを開催する民間企業も多く、セミナーを受けるハードルは低くなったといえます。開催方法などに柔軟性はありますが、公的機関主催のセミナーに比べると、参加料金は高めです。主催する民間団体によって幅があるので、複数のセミナーをチェックするとよいでしょう。

事業承継セミナーに参加するメリット

事業承継セミナーに参加するメリット

事業承継は、専門的な知識が必要なケースも多くあります。とはいえインターネットで検索すれば、多くのノウハウや情報が載っています。そのためセミナーへの参加は必要ないと思う方も多いかもしれません。しかしセミナーに参加するからこそ得られるメリットがあります。主なメリットは次の4つです。

  • 事業承継に関する知識を深められる
  • 人脈が広がる
  • 専門家の意見を参考にできる
  • 自社の状況を客観視できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

事業承継に関する知識を深められる

スムーズに事業承継を進めていくためには、余裕を持った計画と十分な知識が必要です。しかし専門的な分野も多く、経営者の方が本業をこなしながら独学で学ぼうとするのは困難かもしれません。また独学では「どこから学べば良いのか」「何を学ぶべきなのか」迷うことも多いでしょう。例えば自社に近い事例を見つけるだけで、多くの時間が費やされてしまうこともあります。

しかしセミナーであれば、豊富な知識を持った専門家が重要なポイントをまとめて教えてくれます。疑問があれば、大抵はその場で質問できるので、迷ったり悩んだりして時間を無駄にすることもないでしょう。自らインターネットで情報収集するのも有効な手段ではありますが、疑問が芽生えたときにすぐ誰かに相談はできません。セミナーは、限られた時間で効率的に事業承継に関する知識を深めたい方におすすめです。

人脈が広がる

人脈が広がるのもセミナーならではのメリットです。事業承継をテーマにしたセミナーの参加者のなかには、類似する悩みを抱えた経営者が集まるケースも多くあります。経営者は、組織内に同じ立場の人がいないため、孤独だといわれることも多いです。特に中小企業の経営者のなかには、周りに本音や悩みを話せず、一人で悩みを抱えてしまう人も多いのではないでしょうか。

しかしセミナーに参加することで「同じ立場」「同じ悩みを抱えている人」に出会うチャンスがあります。現状の悩みや情報を交換していくうちに、新たな解決策が見つかることもあるでしょう。課題を解決するための心強いパートナーと出会えることもあります。

専門家の意見を参考にできる

事業承継セミナーの講師は弁護士や税理士、保険のプロや事業承継に実際に携わった専門家の方であることも多いです。知識と経験が豊富な専門家の生の声を聞けるのも、セミナー参加のメリットといえるでしょう。

インターネットからの情報収集だけでは、似たような事例を参考にして手探りで進めていくしかありません。まったく知識がない状態であれば、その情報が正しいかどうかの判断も難しくなります。

しかし専門家からこれまで経験した事例、意見を聞くことによって、実際のイメージがつきやすくなるでしょう。自社の現況を話すことで、適切なアドバイスをもらえることもあるかもしれません。ノウハウや知識だけではなく、実際の事例や意見を聞くことで、より理解が深まるでしょう。

自社の状況を客観視できる

事業承継を進めていくにあたり、今後の経営方針についても考えていく必要があります。もし経営状態が芳しくないのであれば、後継者に引き継ぐことができても長くは続かないでしょう。

しかし自社の状況や課題点ばかりに目を向けてしまい、視野が狭くなってしまう経営者の方は少なくありません。そこで大切なのは自社を客観視することです。

外部に目を向け、さまざまな視点から客観的に見ることで、改善方法が見えてくるケースもあります。

事業承継セミナーには、さまざまな状況の経営者が参加しています。他の経営者がどのような考え方をしているかを知り、学ぶことで、より良い経営方針が見つかるチャンスがあるでしょう。

事業承継セミナーに参加するデメリット

事業承継セミナーに参加するデメリット

セミナーに参加するからこそ得られるメリットがあります。しかし一方で、デメリットもあります。それが次の2つです。

  • 求める情報が得られない可能性がある
  • 時間や費用がかかる

「メリットよりもデメリットのほうが大きかった」とならないためにも、デメリットをしっかりと理解することが大切です。デメリットを知ることで、対策を立てられるでしょう。

求める情報が得られない可能性がある

詳しくは後述しますが、セミナーに参加するうえで大切なことは、明確な目的を持つことです。目的が明確になっておらず、なんとなく参加するだけでは、期待していた情報を得られないかもしれません。

「ためになると思ったから参加したけど、知りたい情報がなかった」

「参加したけれど専門用語が多く、どこが重要ポイントなのかわからなかった」

参加することで、上記のような感想を持つ方がいます。セミナーのクオリティが低かったということもあるかもしれませんが、明確な目的がなかったことが原因の場合も多くあります。

事業承継セミナーと一言でいっても、内容はさまざまです。初心者向けや上級者向け、経営者視点のセミナーもあれば、後継者視点のセミナーもあります。業界を絞っているセミナーもあるでしょう。

そのため自分がどのようなことを学びたいのか、明確にする必要があります。明確にすることで、より自分に合うセミナーに参加できるでしょう。求めていた情報がなかったというリスクを減らせます。

時間や費用がかかる

セミナーに参加するためには、当然ですが費用や時間がかかります。学ぶうえである程度は仕方ありませんが、本業に影響が出ないように注意することも大切です。独学であれば、都合の良い時間に学べますが、セミナーはそうはいきません。

自分がセミナー開催の都合に合わせる必要があります。また費用が高額なセミナーもあるので、自社に必要な内容かしっかりと精査しましょう。

セミナーに参加することで人脈構築や自社の客観視など、多くのメリットがあります。しかし本業に支障が出ないようにしましょう。事業承継を進めるうえで難しい部分は、専門家に任せるのも一つの方法です。

事業承継セミナーを有意義な経験にするポイント

事業承継セミナーを有意義な経験にするポイント

事業承継セミナーにはさまざまな種類があります。ただ参加するだけでは、セミナーのすべてのメリットは得られないでしょう。より有意義な経験にするためにいくつかポイントがあります。それが次の4つです。

  • 参加する目的をはっきりさせる
  • 事業規模や業種に適した事業承継セミナーを選ぶ
  • セミナーの内容を定期的に振り返る
  • セミナーの信憑性を確かめる

参加するセミナー選びを誤ると、デメリットのほうが大きくなる可能性があります。ポイントを押さえて、賢くセミナーに参加しましょう。

参加する目的をはっきりさせる

先ほども触れましたが、セミナーに参加する目的をはっきりさせましょう。例えば漠然と働く経営者と「5年後に3店舗増やす」という明確な目的がある経営者。どちらのほうが結果を早く出せるでしょうか。答えは後者になります。なぜなら目標が明確だと、やるべきことが見え、効率的に経営を進められるからです。

セミナーも同じです。漠然とセミナーに参加するだけでは、思ったような効果は得られないでしょう。目的を持つことで、セミナー内の重要な部分、聞くべき部分も把握しやすくなります。

自社の状況を把握し「より良い後継者を見つける」「スムーズな手続きを実現する」など明確な目的を持って参加しましょう。

事業規模や業種に適した事業承継セミナーを選ぶ

セミナーに参加するメリットを多く得るためには、セミナー選びも大切です。セミナーのなかには特定の業種や企業規模など、ターゲットを絞って開催している場合もあります。

企業規模が100人なのに、1,000人規模向けのセミナーでは、事例も自社に当てはまりにくく参考にならないかもしれません。それでは時間と費用が無駄になってしまいます。

そうならないためにも、しっかりとリサーチしてセミナーを選びましょう。

セミナーの内容を定期的に振り返る

セミナーで知識を得たら、しっかりと復習することも大切です。学んだ内容を自社の状況に照らし合わせ、分析も忘れずに行ないましょう。

インプットするだけでは、意味がありません。知識はアウトプットして初めて役に立ちます。

自分なりにかみ砕き、自社の事業承継にどのように役立つか検討してみてください。新たな課題、または課題に対する解決策が見つかるかもしれません。

身につけた知識やノウハウを、最大限活用することで事業承継の成功率が高まるでしょう。

セミナーの信憑性を確かめる

事業承継セミナーを開くために、特別な資格は必要ありません。セミナーは全国各地で開催されていますが、なかには信憑性が低いセミナーも存在します。

なかには「高額な費用を支払ったのに、インターネットで得られる情報ばかりだった」ということもあるかもしれません。

セミナーを選ぶ際のポイントとして、主催者や講師がどのような団体、または人物かをチェックすることも大切です。弁護士や税理士などの専門家か、実績はどのくらいあるかなども確認したうえで選びましょう。

実践にどう活かすか考えながら事業承継セミナーを受講しよう

実践にどう活かすか考えながら事業承継セミナーを受講しよう

事業承継セミナーの種類や参加するメリットやデメリットを解説しました。事業承継をスムーズに進めるためには、知識や経験が必要です。しかし本業と並行しながら、独学で学ぶのは困難かもしれません。重要ポイントを短期間で効率的に学ぶために、セミナーは有効な手段です。

しかし参加目的がはっきりしていないと、思っていたようなメリットが得られない可能性もあります。しっかりと目的を持ち、どうアウトプットするか意識しながら受講してみてください。有意義なセミナー時間となり、事業承継を成功に導けるでしょう。

この記事を書いた人

DX支援メディア編集長
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大手の営業会社で1年以上働いた経験があるライターが、客観的な情報を踏まえた上で、BtoB営業に悩まれている方に寄り添ったコンテンツを発信していきます。

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