事業承継は事前の対策が重要!対策を立案する際のポイントも紹介

事業承継は事前の対策が重要!対策を立案する際のポイントも紹介

対策なしで事業承継を成功させるのは難しい

現在国内では「少子高齢化」問題が深刻化しています。少子高齢化がこのまま進むと、さまざまな機関に影響を及ぼすと言われており、実際にどの分野においても対策なしで乗り切ることは難しいと考えられています。

特にビジネスの世界においては、少子高齢化による「後継者不足」が大きな問題です。既存の事業を承継するために、早期から対策を行なっている企業も多くみられます。

「まだまだ先の話」だと考えがちな問題ですが、多くの企業はなぜ事業承継のための対策を取っているのでしょうか。

今回は、事前の対策なしでは難しいとされる事業承継を成功させるためのポイントをご紹介します。

事業承継対策をおこなう目的

事業承継対策をおこなう目的

なぜ多くの企業は事業承継のために、早期から対策を行なっているのでしょうか。その一つに事業承継を成功に導くためには、長い年月が必要となる場合があるからという理由が挙げられます。

後継者選びや手続きにも多くの時間がかかります。やると決めてすぐに結果を出せるものではありません。また対策を取らないと、余計な負担が増える場合もあります。

スムーズな事業承継のためには、しっかりとした対策が必要なのです。やるべきことをしっかりと把握したうえで早期に対策を進めましょう。

将来的に事業を存続させるため

長年にわたり築いてきた事業を、後継者がいないからという理由で廃業させてしまうことは当事者として惜しい気持ちになってしまいますよね。

また、廃業が増加してしまうと、国内の経済が衰退してしまう要因の一つにもなります。現状としてその事業の利益があまり出ていない場合でも、他企業からすれば魅力的に見えている場合も多々ありますから、事業承継して継続させるという手段を取るわけです。

しかし事業は、経営者が交代すれば終わりではありません。組織には事業のための資金や権利、従業員もいます。それぞれを承継後どうするかという詳細を決めていかなければなりません。

特に従業員や既存の取引先には、事業承継についての理解を得ることが非常に重要となります。強引に進めた結果、理解を得られなかったためにスムーズな事業承継ができず、利益減少に繋がったというケースも多くあります。将来的に事業を存続させるためにも対策をする必要があるのです。

相続トラブルを回避するため

「相続」と聞いても経営者が若い場合は、まだ必要のないものだと考えられがちです。しかし、突然亡くなるという事態が100%起こらないと断定することはできません。

突然の経営者不在により事業継承ができないとなると、従業員の生活をも脅かすこととなってしまうのです。万が一のリスクを考えて、事業承継について早い段階から考えておくのは重要です。

通常であれば組織の株式や事業資産は親族で分け合うこととなります。事業に支障がないような分配方法で親族が納得してくれれば問題ありませんが、親族の誰かが不満を持っていればスムーズな分配が難しくなり、経営混乱を招く要因となります。

このようなケースは珍しいものではなく、相続トラブル件数は年々増加傾向にあるのです。相続トラブルを回避するためにも対策を立てることが重要です。

税金の負担を抑えるため

相続には多額の贈与税や相続税が発生します。多額の現金を用意する必要があるので、大きな負担となります。しかし近年「事業承継税制」という制度が作られました。

一定の要件を満たせば、贈与税と相続税の支払が猶予・免除になる制度です。経営者から後継者へ事業承継した場合には支払猶予、そしてこの後継者から次期後継者へと承継した場合には免除となります。

適用されるにはさまざまな要件があるので、早めに対策を取っておくことが大切です。無事に事業承継されても税金の負担が大きい場合、承継直後からスムーズに事業が行えないといった事態も起こります。

円滑な事業承継につなげるための対策

円滑な事業承継につなげるための対策

事業承継は数日で完結できるようなことではありません。早い段階から対策しておかなければ、円滑な事業承継は難しいものとなってしまいます。そのためにどのようなことができるのでしょうか。事業承継を考え始めたら、押さえておきたいポイントを紹介します。

会社の現状を把握する

会社の今後を考えるのであれば、まずは会社を取り巻く現状を把握しておきましょう。現実的な計画を立てるためにも最初にするべき重要な作業です。経営資源の状況をはじめ、従業員数や経営リスク状況などを確認します。

事業の強みや弱みなども把握しておきましょう。土地や建物などは会社名義ではなく、個人名義になっている組織も多く見受けられますので、それらもすべてチェックしておきましょう。

事業承継の方法を検討する

事業承継と言えば「経営者の子ども」のような親族が後継者となるイメージを持ってしまいがちですが、実はいくつか種類があります。一つ目は家族や親戚が後継者となる親族内承継、二つ目は会社に勤めている社員が後継者となる従業員承継、三つ目は会社の売却などを行うM&Aです。

後継者が親族の場合は従業員に受け入れられやすい、幼少期から後継者として時間をかけて育てやすいなどのメリットがあります。しかし近年では、一昔前のように「必ず跡を継がなければならない」といったような風潮が薄れてきているせいもあるのか、親族が後継者とならない場合も多く見受けられます。

従業員が後継者となる場合、社内事情や、従業員の詳細を把握できているというメリットがあります。しかし経営者となるときに株式を取得する必要があるなど、経済的負担が大きいことから適した人材がいたとしても断られる場合もあるようです。

M&Aといえば大企業の話のようなイメージがあるかもしれません。しかし近年ではM&Aのマッチングサイトが多く登場しており、中小企業もM&Aを活用して事業承継する例が増えています。後継者不在で廃業を考えている場合でも、他者から見れば魅力的な事業というパターンもあるので、近くに後継者がいない場合はおすすめの方法です。

後継者を選定する

事業承継の方法として親族内承継、もしくは従業員承継を選択した場合、誰を後継者にするか選ぶこととなります。最初から親族内承継と決めているのであれば、時間をかけて育てられるメリットはありますが、人には誰しも得手不得手があります。

選んだ人材が本当に経営者としてのスキルがあるのかと言われれば、適していない人がいても不思議ではありません。また後継者として育成していても、途中でやりたいことが見つかり結局そちらの道へ進んでしまうというパターンもあるでしょう。

親族以外を後継者とする場合は、従業員から選ばれる場合が多く見られますが、それ以外にも取引先から適した人物を後継者とする場合もあります。親族だけでなく従業員、または社外も含めて、自社の後継者に相応しい人材を選ぶこともできるのです。

事業承継計画書を作成する

事業承継の方法を検討し後継者が決まったら「事業承継計画書」を作成しましょう。せっかく自社の将来について考えがまとまっていても、それらを書面に残しておかなければ、誰も内容を知ることができません。

経営者にもし万が一のことが起きてしまった場合、残された者は経営者の意思を継承できなくなってしまいます。

事業承継計画書を作成することになると、経営者と後継者、または従業員も含めて具体的に話し合う必要が出てきます。自社の事業承継について話し合うということは、まず自社の現状を振り返る必要性が出てきますし、これからの在り方について意見を出し合う良い機会となるでしょう。

従業員や取引先・銀行などの理解を得られずスムーズに進められないことがありますが、早期に事業承継計画書を作成しておけば、時間をかけてゆっくり理解してもらえる可能性は高くなるでしょう。

また、贈与税と相続税が免除となる事業承継税制を申し込むには、事業承継計画書の提出が必須となりますので、何かとメリットが大きいのです。

事業承継対策を検討する際のポイント

事業承継対策を検討する際のポイント

これまで紹介した事業承継対策を一通り見てみると、思っていたよりやらなくてはならない項目が多く、時間がかかりそうだという印象を受けた方も多いのではないでしょうか。

事業承継対策を進めるには、いくつかのポイントがあります。忘れがちな対策もこの機会に把握しておきましょう。

なるべく早く対策を立てる

事業承継には会社の現状把握、後継者の決定・育成などのために多くの時間が必要です。「自分もそろそろ引退かな」と考えたときに事業承継対策を始めているようでは、自分が想像していた時期に引退することはできません。

なるべく早く対策を立てることが重要になるのです。「まだまだ働けるぞ」という段階から始めるとよいでしょう。

親族内の人間関係は円滑だから心配していないと考えていても、相続の段階になると内情が悪くなってしまうケースは多く見られます。裁判にまで発展してしまう場合も増加傾向にあるようです。

経営者が問題を抱えている場合、従業員が安心して働けず士気も下がってしまいます。このようなトラブルを避けるためにも、他所事と考えず早い段階から検討する必要があるのです。

後継者へのフォローアップも考える

後継者の育成プランもしっかりと考えましょう。「常に同行していればなんとなく全体的にわかってくれるだろう」などとぼんやりしたプランで、組織の進むべき方向や、経営者としての考えを承継させることはできません。事業計画を立てるのと同じように、計画的に後継者を育てていく必要があります。

フォローアップの方法はさまざまです。自社のさまざまな部署や役職を経験させる場合や、あえて他社で学ばせる方法もあります。組織や事業の細部まで把握することは、経営者としてコントロールしていくために重要です。後継者に合った、または社風に合った形の方法を選択するとよいでしょう。

自社株式の対策も忘れずにおこなう

日本国内における企業の大部分は中小企業のため、上場企業のように株価を明確に把握できません。その場合「類似業種批准方式」や「純資産価格方式」で算定することとなります。企業の大きさによって双方のいずれかで算定することになりますが、併用する場合もあります。

株価は専門家によって評価されることとなりますが、タイミングによっては自社株の評価額が上昇し、事業承継時に多額の資金が必要となる場合があります。スムーズな事業承継のためにも、早めに対策をしておきましょう。

事業承継対策を立案する際は専門家に相談しよう

事業承継対策を立案する際は専門家に相談しよう

スムーズに事業承継を進めるためには、早期の対策が必須となります。行うべき項目、確認すべき事項、そして後継者育成に長い時間が必要となるからです。

しかし事業承継対策にかかりきりでは、本業が疎かになってしまい本末転倒となってしまいます。無理なく円滑に事業承継を進めるためには、まず専門家に相談してみましょう。

大切に築き上げてきた会社を誰かに承継させるにあたって、不安な気持ちを持つ方もいると思います。つい先延ばしにしてしまう方も多いでしょう。しかし会社や従業員を守るためには、早い段階で「今」だけでなく「将来」を考えておくことが大切です。

この記事を書いた人

DX支援メディア編集長
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