【最終更新日:2022年1月3日】
お客さまが商品を購入する際に決め手となる大きな要素の一つに営業マンからの言葉があります。
逆にいえば、商品そのものの質や価格が適正であっても、営業マンが自信なさげにトークをしていたり、カタログと見積書を提出するだけでは、「今買いたい」「この人から買いたい」とはならないのです。
そこで今回はお客さまの心に届くトーク力を磨いて、成約率を上げるための秘訣をご紹介します。実際に使えるトーク集になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
営業の基本的な4プロセス
商談ではどのように話を展開していますか。「商談」なのだから商品の話を中心にしています、というトップセールスマンはめったにいないでしょう。成約率の高い営業マンは、お客さまとの信頼関係を丁寧に構築し、まずは「この人の話すことには価値がある」と思ってもらうことに注力します。
営業トークの展開として、基本となる4プロセスを抑えておきましょう。
アイスブレイク
お客さまとの会話は、初対面の緊張した空気を壊して、気持ちをほぐすところから始めます。自己紹介では型通りの話し方をするのではなく、必ず相手にも質問を投げかけます。
NG例:“私は〇〇出身で、この仕事を始めて〇年で、趣味は〇〇です。”
アイスブレイク例:“私は〇〇出身なのですが、□□さんはどちらの出身ですか?” “趣味は〇〇なのですが、〇〇のことをご存じですか?”
人は相手のことを知ると「同じ量の情報を与えなくては」と感じるので、先に自分のことを話すと相手のことも知ることができるのです。また、共通点があったら「〇〇なんですね!同じですね!」と強調しておくと、連帯感が生まれ親密性が増すでしょう。
ヒアリング
商品購入の必要性を意義付けるために、お客さまが感じている不満や課題を明確にします。必要もない商品を、ただ「当社のおすすめだから」という理由だけでセールスしていては押し売りと変わりません。
NG例:“ただいま〇〇のキャンペーン中でして、今なら〇%OFFでこちらの商品が……。”
ヒアリング例:“お客さまの理想の状態はどういったものですか? その実現のために障壁となっているものは何でしょう?”
お客さま自身が言語化するまでに至っていない問題点を、丁寧に掘り下げていくと「親身になって聞いてくれる」「気づかせてくれる」と営業マンへの信頼度が高まります。
プレゼンテーション
ヒアリングで得た情報に紐づけて、商品の特徴や導入後のメリットを説明します。顧客側の問題点と解決法が盛り込まれていれば、真剣に聞いてもらえることでしょう。
NG例:“用意した資料・カタログを読み進める”
プレゼン例:“先ほどお伺いした問題点は、商品のこの機能で解決することができます。××というデメリットもありますが、〇〇なことで補えます。”
メリットばかりを強調しては、人はかえって疑いを持つものです。デメリットもきちんと説明しつつ、得られるメリットの方が大きいこと、デメリットを打ち消す手法があることを伝えましょう。
クロージング
クロージングとは購入・契約に至る最終プロセスです。予算の話になったとたんに腰が引けてしまうお客さまもいますが、この不安感に寄り添いながら一つひとつ反論していくことが大切です。
NG例:“以上で説明は終わりです。では契約についてですが……。”
クロージング例:そう思われますよね。しかし……。 その点が気になりましたか。わかります。そこはですね……。”
営業マンにとって、一番怖いのが「検討します」のひと言で商談を終えざるを得なくなり、そのまま保留にされるというパターンでしょう。これを防ぐためにはプレゼン前に「ご納得いただけたらこの場でお返事いただけますでしょうか」と布石を打っておくのも有効です。
効果的なトーク集9選
商談中に営業マンが発する言葉はすべて、お客さまの興味を商品に向かせたり、欲しいという気持ちが高めたりするためのものであるはずです。自分の言葉でお客さまにどう思ってほしいのか、どう行動してほしいのかを明確に意識すると、効果的な営業トークを組み立てることができるでしょう。
すぐに使えるトーク例を9つ紹介するので、自社の商品や自身のパーソナリティーに合わせて応用してください。
目的を伝える
商談に気持ちを集中してもらうためにお客さまの「目的」を設定し、共通認識とします。
トーク例:“今日は〇〇さんと御社にとって、ベストな~をみつける時間にしたいと考えておりますがいかがでしょうか。”
「今このとき」に集中してもらうためのスイッチとなる言葉は、アイスブレイク後に適度な緊張感を持って伝えると効果的でしょう。
具体的な質問をする
ヒアリングでは、具体的な質問をあらかじめ準備しておきましょう。
トーク例:“では、価値のある時間となるよう、いくつかご質問させていただきます。”
人は話を聞いてくれる人を好ましく思うものです。お客さまの本音を引き出すよう、答えには「なるほど!もう少し詳しくお伺いしてもよろしいですか?」など掘り下げていきましょう。
自己紹介で信頼と共感を得る
初対面のお客さまは商品への興味は当然として、営業マンのことも「どんな人か」「本当のことを話してくれるか」と注意深く観察しています。信頼と共感を得るために、自己紹介の時間をしっかり確保しましょう。
トーク例:“今日は〇〇について詳しくお話させていただきます。その前に、自己紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか。”
自己紹介には「営業にかける思い」「重要視していることは何か(価値観)」「商品体験のビフォーアフター」を盛り込みましょう。ここで好感を得ることができれば、「この人から買いたい」と思ってもらえる確率が高くなります。
相手のゴール(求める満足)を確認する
ヒアリングでお客さまの課題がみえてきたら、ゴールが何になるかを確認してからプレゼンに入ります。
トーク例:“〇〇と△△、□□という課題があるようですが、この中で絶対に譲れないものは何でしょうか。〇〇と□□ですね。ではこれらが解決できるものならご満足いただけますか。”
お客さまのゴール(求める満足)を確認し、そこを外さないプレゼンを組み立てましょう。お客さまからみても、焦点となる課題がはっきりし、「ここを満足させてくれるなら購入しよう」という判断材料になります。
相手の価値基準を知る
ものごとを判断するとき、人は自分の価値基準によって行動しています。価値基準を知り、そこに訴えることができれば、人の心を動かすことができます。
トーク例:“〇〇購入で大切にしていることは何ですか。”
いくつかの答えが出たら、お客さまが本当に大切にしていることを探っていきます。価値基準とは、自分にとっての必要・不必要を判断するものなので、購入の判断に大きく影響するのです。
購買意欲を購入に結び付ける
新しいものを取り入れるということは、現状に不満があり、解決したい問題があるということです。お客さまの課題解決のために商品・サービスが役立つことを伝えられれば、「こうしたい、こうなってほしい」という気持ちと購入を結び付けることができます。
トーク例:“この商品のこの特徴が、今お悩みの〇〇なところを解決してくれますよ。”
商品やサービスが「問題解決のためには必要なものだ」と思ってもらえれば、プレゼンは成功です。
要点を繰り返す
相手の話をそのまま繰り返したり、要点を繰り返したりという「オウム返し」を会話に使うと、相手は「話を聞いてくれている」「理解してくれる」と安心感を持つようになります。
トーク例:“「実は最近異動になりまして」→最近異動になられたのですね。
「まだわからないところがあるんですよ」→まだわからないところがあるのですか。それは困りましたね。”
同じフレーズや共感が返ってくることで、お客さまは承認欲求が満たされ、営業マンに信頼を寄せるようになります。
不安を先出しする
購入にあたり不安に思われそうなところ、デメリットに感じているところは、営業マン側から先に議題にあげましょう。
トーク例:“やはりコストは心配ですよね。他に不安な点はありますか?”
営業マン側から切り出されることで「商品に自信があるから言えるのか」「信頼できそうな人だ」と好ましく受け取ってもらえるトーク手法です。
反論を受け止めて肯定する
お客さまの反論は、商品やサービスを否定しているのではなく、意見を述べてくれているのだと受け止めて、すべて一度肯定しましょう。
トーク例:“ご意見ありがとうございます。たしかにそうですね。私も同じように感じます。”
お客さまの不安や疑問は、商品を利用しているシーンを想定してくれているからこそ浮かんでくるものです。一緒に考える姿勢、不安に寄り添う共感を示し、お客さまとのコミュニケーションを深めましょう。
営業トークを強化する書籍5選
営業トークのテクニックには、トップセールスマンが試行錯誤の末にたどり着いた方程式や、心理学に基づいて心を動かす手法など、さまざまなものがあります。自分に合った書籍と出会い、トークテクニックを身につければ、成約数も変わってくるでしょう。おすすめの書籍を5冊ご紹介します。
凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク
営業とは何かという本質的なところから、お客さまの欲求を知る重要性、実践的なトーク例まで豊富なノウハウが掲載されています。この1冊で売込み型セールスから価値提供型の営業マンに変われることでしょう。
ムリせずウソをつかず1億売れた!!「営業トーク」
著者の経験談と成功事例から導き出された実用的なトーク手法が紹介されています。小手先・口先ではなく、真摯な姿勢でお客さまに指名される営業マンを目指しましょう。初めて営業にトライする人でも読みやすく、実践的だとして人気です。
バカ売れ営業トーク1000
契約成立までの道筋を7つのステップに分け、さらに200以上のパターンに分類しています。それぞれのパターンにはまる1000のトーク例が掲載されているので、まずは真似をするだけでも商談が変わっていくのがわかるでしょう。
これだけは知っておきたい「セールストーク」の基本と実践テクニック
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お客さまに何を言われても切り返す魔法の営業トーク100
著者が生命保険の営業活動で培った「切り返しトーク」が、見込み客探し~クロージングまでのシーンに合わせてすぐに使えるフレーズとして紹介されています。「お客さまと仲良くなる」ことを目指せば営業という仕事の悩みが軽くなり、商談を楽しめるようになりますよ。
まとめ
営業の基本的な4つのステップと、お客さまの気持ちを動かす9つのトーク例をご紹介しました。「好感を持ってもらう」「購買意欲を高める」「価値を提供する」など目的を設定して心理学的アプローチを学べば、自然な営業トークで成約に至れることでしょう。
現状に悩みを持っているのなら、まず自分の商談内容を振り返って、書籍などの成功事例と比較分析してみることをおすすめします。