【最終更新日:2022年1月3日】
By 増山 順一(Online Sales Lab.代表)
世の中のデジタル化が一気に進んで、私たちの周りにも難しい専門用語が増えました。
例えば今でこそ沢山耳にするようになったIOTとか5Gとか、インターネットネット広告の世界ではCVRとかCTRとかCPCとかCPAとか。
それ以外でも例えば株式投資の世界ではRSIとかアイランドリバーサルとかアクティビストとか。
さらに最近だとコロナウイルス関連でオーバーシュートとかアウトブレイクとかロックダウンとかクラスターとか。
特に私たち日本人にとっては英語やカタカナの横文字が苦手です(笑)。
例えばこちらの文章を見てみましょう。
コンテンツ制作者向けデジタル広告技術事業の米国PubMaticは、テレビのように継ぎ目のない視聴体験が維持できるヘッダー入札ソリューション「OpenWrap OTT」の展開を始めた、と6月16日発表した。広告ポッド全体の収益化と視聴体験の最適化を可能にする。
OpenWrap OTTは、純広告とプログラマティック(広告枠の自動買い付け)の両方のデマンドパートナーを100%一元化する。視聴者行動のリアルタイムの変化に対応して新しいデマンドによる機会を創出。テレビと同等の高速な読み込みによる視聴体験を提供する。
きっとほとんどの方がこう思ったはずです。
「なんのこっちゃさっぱり分からん!!!」
広告関連の人間ならまだしも、おそらくほとんどの一般の方には伝わらないと思います。
ちなみにこの文章はWeb担当者フォーラムという、いわゆる業界誌(サイト)から引用してきたニュース記事で、一般の方向けにリリースされたものではありません。
業界関係者向けのニュース記事ですから、もちろん関係者が理解できればそれでいいと思いますが、例えばこれを一般の人達向けに配信しても誰にも理解されないことは明らかです。
専門用語・業界用語を連発していませんか?
例えばあなたの営業先がかなりニッチな業界で、見込み客もあなたの話す専門用語を理解しているのであれば全く問題ありません。
しかし、例えばあなたの会社が世の中でも珍しい新商品を取り扱っていたり、一般の人達には馴染みのない技術や素材を取り扱っていたり、前述のWeb広告業界のような横文字を連発していたりといった場合は注意が必要です。
ひょっとしたらあなたのセールストークは相手に全く理解されておらず、ただの知識自慢になってしまっている可能性があります。
専門用語を連発したところで「この人はスゴイ!」なんて思われることはほとんどなく、大抵の場合、相手は知ったような顔をしながら「こいつの言っていることはさっぱり分からん」と心の中で思っています(笑)。
大切なのはあなたが専門用語を理解していることではなく、全く知識のない見込み客がすんなりと理解できるように分かりやすく伝えることです。
小学生でも理解できるように話そう
あなたのセールストークを聞いて、小学生でも理解できるようになっていれば最高です。
小学生に理解させようと思ったら難しい言葉や専門用語は絶対に通用しないですし、かなり話をかみ砕いて伝える必要があります。
そして、「話をかみ砕ける」ということは、その伝えたい内容を本当に理解していなければ不可能です。
そう、難しい言葉や専門用語をそのまま言っている場合、実は言っている本人がその内容を理解していない場合がほとんどです。
事例として今でも私が覚えているのは、あの福島原発事故です。
民法のアナウンサーが「ミリシーベルト」と「マイクロシーベルト」の違いを理解しておらず、難しい用語が並んでいる原稿を噛み噛みで読んでいた姿がとても印象的でした。
もちろん原稿を読んでいる本人が理解していないのだから、視聴者だって理解できません。
放射能が危険だということは分かるが、その放射線量がどれくらい危険なのか、そこに1時間いるとどうなってしまうのかといった本当に知りたいことが全く理解できなかったのです。
これと似たような状況が、営業の現場でも起こっているかもしれません。
特に新人の方は要注意ですね。
あなたが心の底から理解していない、ただ単語の名前を覚えただけの専門用語や横文字は相手に伝わっていない可能性が高いです。
エレベーターピッチ
セールスの世界では「エレベーターピッチ」という言葉があって、これはエレベーターに乗り込んでから目的階に到着する限られた時間の中で、相手に自己紹介をするというものです。
例えばこんな状況をイメージしてください。
ある日、新規の訪問先に向かおうとビルのエレベーターに乗り込むと、同じタイミングで先方の社長が乗ってきました。
面会するのは担当者ですが、今この時間は社長に直接プレゼンできるチャンス!ただし時間は目的階に到着するまでの1分しかありません。
この目安1分の間に、あなたが何者でどんな仕事をしている人で相手にどんな風にお役に立てるのか、を伝える手法がエレベーターピッチ。
1分間で伝えるって、本当に難しいですよ。
ぜひこのエレベーターピッチにチャレンジしてみてください。
これができるようになれば、日本中のエレベーターが営業現場になりますよ(笑)。