【最終更新日:2020年12月17日】
by 遠藤 修(株式会社ジェイック トップセールスクリエイター)
2020年は企業規模の大小を問わず、営業活動において大きな変革の年となりました。
これまでの対面型の営業(リアル商談)からZoom等のWebシステムを活用したオンライン商談へと、半強制的に営業手段を切り替えざるをえなかった企業が山ほど存在します。
事実、Zoom社の決算発表(第3四半期)では、売上が3.67倍、純利益はなんと90倍の約210億円と、一般企業では考えられない業績をたたき出しています。
さて、日本国内でもすっかり定着した感のあるこのオンライン商談ですが、営業研修を手掛ける私たちの元には、「オンライン商談を導入したが成約率が下がってしまった」「オンライン商談の導入は営業現場に任せているが売上が上がらない」といったように、オンライン商談に関するお悩みが毎日沢山寄せられています。
そこで本記事では、私たちジェイックが日々実践しているオンライン商談で成果を上げる為のノウハウの一部を公開いたします。
目次
オンライン商談は「2次元」
オンライン商談とリアル商談の違いはいくつもありますが、もっとも大きな違いがこの「オンラインは2次元である」ということです。
Webカメラ越しではあなたの表情は伝わっても、リアル商談のような「空気感」は伝わりません。(もちろん表情もリアル商談と同じようには伝わりません)
簡単に言えば、リアル商談では武器のひとつとして使えたあなたのキャラクターや人間性、愛嬌といったものが、2次元の世界では相手に伝わらなくなってしまうのです。
これまでリアル商談では雰囲気やキャラクターを強みとしていた営業マンにとって、これはとても致命的です。
もちろんオンラインでは普段よりもテンションを上げたりといった対策はありますが、それでもリアル商談のような「臨場感」を作り上げることはとても難しくなります。
それでは、オンライン商談でこれまでと同じように、いやそれ以上に成果を上げる為にはどうすればよいのでしょうか。
営業で解除すべき4つの「不」
オンライン商談で成果を上げる為には、まずはテクニックよりも営業の基本を見直すことが大切です。
私がクライアント企業に提唱している「遠藤流営業」では、営業で商品・サービスを売るためには、以下4つの「不」を解除する必要があるとお伝えしています。
STEP1:不信感の解除
まず一番はじめに解除しなければならないのが、この「不信感」です。
簡単に言えば、「あなたはどこの誰で何者ですか?」という不信の壁を取り除いて、見込み客に信頼してもらえるようにすることです。
このステップは一般的にアイスブレイクとも呼ばれています。
STEP2:不要感の解除
あなた自身が見込み客に信頼してもらったところで、次に解除しなければならないのがこの「不要感」になります。
これも簡単に言うと、見込み客の「ウチにはいらないでしょ?」という考えを変えさせることです。
その為には商品の売り込みをするのではなく、見込み客の現状をよくヒアリングして、あなたの商品・サービスを取り入れると相手にどのようなメリットがあるのかを提示し、しっかりと理解・納得してもらいましょう。
STEP3:不適感の解除
見込み客の「いらない」の壁を乗り越えると、次に解除しなければならないのが「不適感」です。
これは「すばらしい商品なのは分かったけどウチには合わないね」という考えを変えるステップになります。
あなたの商品・サービスが見込み客のどのような課題を解決できるのか、見込み客の現状に対してどのようにあなたの商品・サービスがマッチするのかを伝えましょう。
STEP4:不急感の解除
最後の壁がこの「今じゃない」です。
なぜあなたの商品・サービスを今購入する必要があるのか?
あなたの都合ではなく、あくまでも相手の立場に立って提案しましょう。
以上、これまでのリアル商談では、これらの「不」を解除することで成約率を上げることが出来たのですが、オンライン商談でこれをそのまま実践しようとすると、とても重たい作業になってしまいます。
前述のように、オンラインでは空気感を共有できないので相手の集中力も低く、あなた自身もモニター越しに見込み客の反応を見続けていると普段の営業以上に疲れてしまいます。
そこで、これまでリアル商談で行っていた内容を100%だとすると、オンライン商談ではこの部分を70%におさえ、残りの30%は事前に準備・対応しておくようにしましょう。
オンライン商談前の準備
それではオンライン商談前の事前準備として何を行えばよいのでしょうか。
こちらをご参考になさってください。
準備1:あなたのパーソナリティを分かるようにしておく
これはSTEP1の「不信感の解除」に役立ちます。
例えば事前にあなたの自己紹介をまとめた一枚もののシートや自己紹介動画(スマホ撮影程度のものでOK)を見込み客にメール等で送っておくとよいでしょう。
オンライン商談が始まった段階で「あなたがどこの何者か?」を説明するのではなく、事前に認知しておいてもらうのです。
準備2:想定される質問を送っておく
商談前の段階で想定される質問も事前に見込み客へ送っておくと、オンライン商談の限られた時間をスムーズに進行することができます。
質問は事前に回答してもらえればベストですが、見込み客も忙しいので事前回答が難しそうな場合は「当日は以下の点についてお聞かせください」といったように、事前に質問する内容を伝えておくとよいでしょう。
準備3:企業情報・商品(サービス)情報を分かるようにしておく
これは前述の準備1と同じタイミングで行うことができます。
あなたの会社の紹介や商品・サービスの内容をまとめた概要書等を一緒に送っておいて、事前に見込み客に目を通しておいてもらいましょう。
準備4:相手の通信環境を確認しておく
オンライン商談で最も多く発生するトラブルが通信環境に関するものです。
こちらの声が聞こえない、相手の声が聞こえない、共有資料が表示されない等、すでにオンライン商談を経験された方は、ほぼ全員がこのようなトラブルを経験しているのではないでしょうか。
相手がオフィスからオンラインに接続していればそれほど大きなトラブルはありませんが、相手が自宅から接続している場合は通信速度が遅かったり、テザリングのデータ容量制限がかかったり、といったことが原因でトラブルになることがあります。
もちろん、あなた自身が自宅や出先からオンラインに接続する時は、通信環境に不備がないか事前に確認しておくようにしましょう。
オンライン商談で売上アップ
このようにオンライン商談前にしっかりと準備することによって、商談で成約率を上げる為に必要な不信感・不要感・不適感の解除につなげることができるようになります。
オンライン商談はリアル商談以上に疲れる・相手の集中力が低い為、1回の商談時間は30分を目安にしましょう。
特にリアル商談で1回の平均商談時間が1時間程度の方は、この事前準備を行ってなるべく30分程度で終了できるように工夫してください。
ここまでご紹介した内容は決して難しいものではなく、すぐにご自身の営業活動に取り入れることが可能です。
ぜひオンライン商談とリアル商談の違いを理解して、売上をアップさせていってください。
株式会社ジェイック
マーケティング開発部 トップセールスクリエイター
1971年生まれ、福島県喜多方市出身。営業経験31年。物流機器、包装梱包資材卸売業の支店長・市場開発部長を歴任。70年ある同社の歴史の中で、史上2番目の若さでの就任。その経験を活かし、現在は株式会社ジェイックにて営業研修講師、現役営業マンとして活躍中。営業歴31年の中で確立された「遠藤流営業」は大手企業をはじめ数多くの企業が導入しており、特に昨今は営業のオンライン化に伴う「オンライン商談」で成約率を上げる為のノウハウが注目されている。