【最終更新日:2022年1月3日】
最近は「営業職」を希望する人が少なくなっていると言われています。仕事の成果が明確に見えてしまう営業は、成果が出せなかった時のことを考えると、二の足を踏んでしまうのかもしれません。
しかし、営業は企業に利益をもたらすキーマンであり、花形の職種です。結果を出すためにも、しっかり心構えをし、前向きに取り組んでいきたいですね。
今回は「営業担当の5つの心得」をご紹介します。営業マンなら知っておきたい、商売の哲学やマナー、また商談に向かう時の心理状態などは、ぜひ覚えておきましょう。営業に配属されたての新人さんは必見です。
三方良し(または四方良し)
江戸時代、全国的な流通販売網を確立し活躍した「近江商人」と呼ばれる人達がいました。近江商人は大坂商人、伊勢商人と並んで日本三大商人と呼ばれており、現在の商社の原型を作ったと言われています。
近江商人が商売をする上での経営哲学として持っていた考えは「売り手に良し、買い手に良し、世間に良し」という「三方良し」と呼ばれるものでした。これは「商売をするにおいて、売り手と買い手が満足するのは当たり前のこと。それだけでなく社会に貢献できれば、それは良い商売と言える」という意味です。または、これに「関係者良し」という内容をひとつ足して「四方良し」と言うこともあります。この関係者とは「社員、社員の家族、株主、取引先」などが含まれます。
この「三方良し」は、商売の基本であり営業マンの心得です。自分や自社の利益のみを追求せず、相手や社会の幸せために商売をする姿勢は、良い商売に繋がるのです。
商売は相手がいないことには成り立ちません。商談をするにしても、その商材を共に作った社員や取引先の関係者、そしてその人達を支える家族や株主の協力がなければ、その機会が与えられる事はないのです。自分だけが得をする商売をしていると、ゆくゆくは周りに居た人達は離れてしまい、誰も協力してくれなくなるのです。
自己の利益だけを追いかけるより、円満に取引をする方が、長い目でみると利益ははるかに大きなものになります。そして全員が幸せになれるということを400年以上前から近江商人は知っていました。
ビジネスマナーは基本中の基本
ビジネスマナーにはさまざまなものがあります。名刺交換や席次にも細かな決まりがありますから、それらを完璧に覚えておくことも営業マンとして大切なことですが、まずは基本をきちんと抑えておくことにしましょう。
「人は見かけによらない」という言葉がありますが、もし営業担当として来た人が、寝癖つけっぱなしで、シャツの後ろが出ていたら、どう感じますか。実際にはとても優秀な人であっても「何だかだらしない」という印象を持ってしまいませんか。初対面の場合、その人が優秀だという情報を事前に仕入れる事はできませんから、「見た目」の情報しかないのです。
見た目をキチンとすることは、社会人として当たり前とも言えますが、営業マンは相手に好感や信頼を持ってもらうことも仕事のうちです。他の職種より特に「身だしなみ」に気を付ける必要があります。オシャレをするというよりも、「清潔」に「キチンとする」ことが大切です。最低限のマナーですから、常に整えておきましょう。
また、相手との関係を円滑に進めるためには、親しみやすさを持ってもらうことも大切です。そのためには「笑顔」を絶やさないようにしましょう。場の雰囲気も良くなりますし、相手の警戒心を和らげることもできます。
営業マンだからと難しく考える必要はありません。求められることは「人として当たり前のこと」を普通にやることです。遅刻をしない、約束を守るというようなことは、一見できて当然と思いますが、意外とできない人は多いものです。仕事の時だけはできるということはないので、普段の生活から心がけておくことが大切です。
仕事に責任をもつ
営業職はやればやるほど成果が表れるものではありません。どれだけ頑張っても、結果が出なくて落ち込むこともあります。そこで投げ出してしまいたくなることもありますが、自分の仕事に責任を持ち最後までやり抜きましょう。
残念ながら他の人より頑張ったからと言って、顧客が商材を買ってくれる訳ではありません。顧客が求めているのはニーズに合ったものだけだからです。
仕事というものは、どんな小さなものにでも必ず「責任」がついてくるものです。一度引き受けたからには、顧客に対しても責任を全うしなければいけませんし、社外的には自社の一員としての責任もあります。
あまり「責任」という言葉を並べてしまうと硬くなってしまいそうですが、どうやっても成果が出せない場合は誰にだってあります。そんな時には、上司や先輩のアドバイスを貰うなど誰かの協力を得ることも手段のひとつです。やれることからコツコツと努力を積み上げることで責任を果たしていきましょう。
心理状態を良好に保つ
何かひとつ悪いことが起きて落ち込んでいる時に、その後立て続けに良くないことが起こったことはありませんか。これは単に「運が悪い」というものではなく、自分の心理状況が影響していたのかもしれません。
自分が考えている以上に心の中の状態というものは面に出やすいものです。「何だか元気がない」という見た目のことだけではなく、自分自身の思考や、話の内容にも影響しやすく、営業マンにとって大切な「判断力」が鈍るのです。逆に気分が昂っている場合には、相手の雰囲気や言葉のひとつひとつに敏感に反応することができます。
営業マンを始めたばかりであれば、他の社員より成果が出なくても落ち込む必要はありません。目の前の現状だけに一喜一憂せず、「自信を持って商談に挑む」とこが大切です。自信を持てないままで商談をしてしまうと、本来の力を発揮できずに終わってしまいます。
とはいえ、人は日常生活の中で落ち込むことは良くあります。そんな時でも、気持ちが昂る音楽を聞いてみたり、深呼吸をしたりするなどして「良い心理状態」で商談へ向かいましょう。
失敗もフィードバックする
商談が成功すると「あのタイミングで資料を出したのが良かった」「最後のやり取りで相手の心を引きつけることができた」と、自分の中の成功事例ができ、今後の営業に反映することができます。このような成功体験の積み重ねを経て、自分の営業スタイルが確立されていく訳です。
これは自分の成功をフィードバックすることにより、次の商談の生かすという方法ですが、フィードバックするのは「成功」だけではありません。同じように「失敗」もフィードバックすべきなのです。
成功した時も失敗した時も、その都度冷静に自分を振り返りましょう。自分の発した言葉ばかりを振り返ると、ただのトークスプリクトの見返しで終わってしまうので、相手の反応や、社内や周囲の状況も併せて振り返りましょう。また、自分が考えていることなども重要です。
「どこを反省すべきか」ばかりを探し出すより、「目標のためにはどうすべきか」という前向きな改善点を考えましょう。心の中でフィードバックするよりも、メモに残しておくと、いつか営業スタイルを見直す場合に役立つこともありますし、自分の成長を実感することができるので自信にも繋がります。
「失敗は成功の元」ということわざにもあるように、失敗してもその原因を追求し改善点を探すことで、かえって成功に近づくことになるのです。ガッカリして落ち込むだけの、ただの失敗で終わらせることなく、失敗を全て成功のタネに生まれ変わらせていきましょう。
まとめ
ビジネスの世界には、営業を始めて間もないのに、あっという間に結果を残せる人もいます。「営業はセンス」だと考えている人も多くいます。確かに、何も言わずとも上記のことがサラリと簡単にやれる人は営業のセンスがあるのでしょう。
しかし、結果が出ないから「センスがない」わけではありません。ほとんどの人は何もない状態から始まります。ゼロの状態から、毎日少しずつ前進してゆくことでセンスは生まれて来るものなのです。
今、すごい勢いで成果を出している人も、最初は同じ道を通ってきた人ばかりです。自信を持って笑顔で前へ進んでいきましょう。